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MetaがAI戦略の切り札として獲得した若きビリオネア

2025年6月、テック業界に衝撃が走った。FacebookでおなじみのMeta社が、AI企業Scale AIに約2兆円(143億ドル)という巨額投資を行い、同社CEOのアレクサンドル・ワン(Alexandr Wang)氏を自社のAI戦略の中核に迎え入れると発表したのだ。

大学中退から自力でビリオネアへ

わずか28歳のワン氏は、大学を中退して共同創業したScale AIを、企業価値290億ドル(約4兆円)の巨大企業へと成長させた。この驚異的な成長により、彼は一時期「史上最年少の自力ビリオネア」として話題となった。

Scale AIは、AI開発に不可欠なデータラベリング(データに注釈を付ける作業)を専門とする企業で、AI革命の重要な一翼を担う存在として急成長を遂げてきた。自動運転車から言語AIまで、現代のAI技術の多くがScale AIのサービスを活用している。

Metaが仕掛ける「超知性ラボ」の野望

Metaは約150億ドルの投資でScale AIの49%の株式を取得し、ワン氏を新設の「超知性(superintelligence)ラボ」のリーダーに据える計画だ。これは、OpenAIやGoogleとのAI覇権争いにおいて、Metaが本気で勝負に出たことを示している。

MetaはOpenAIやGoogleから主要研究者を引き抜く一方で、今回のワン氏獲得により、データとアルゴリズム両方の専門知識を一気に取り込むことに成功した。

AI業界のゲームチェンジャー

ワン氏の経歴を見ると、その才能は早くから際立っていた。幼少期からプログラミングに親しみ、大学在学中にScale AIを共同創業。ビジネスパートナーのLucy Guo氏と袂を分かった後も、会社を着実に成長させ続けた。

Scale AIの成功の背景には、AI開発において最も重要でありながら地味な作業である「データの品質向上」に着目した先見性がある。美しいAIモデルも、質の悪いデータでは機能しない。ワン氏はこの本質を早期に見抜き、ビジネスモデルとして確立させた。

次世代AI競争の主役へ

Scale AIの新CEOにはJason Droege氏が就任予定で、ワン氏はMetaでの新たな挑戦に専念する。この人事により、AI業界の勢力図は大きく変わる可能性が高い。

ワン氏がMetaで手がける「超知性ラボ」がどのような成果を生み出すのか、AI業界全体が注目している。28歳という若さで、既に業界の歴史を塗り替えた彼が、次にどんな革新をもたらすのか——その答えは遠くない未来に明らかになるだろう。


この記事は2025年7月時点の情報に基づいて執筆されています。